強く、強く願った。







いつかこの声が枯れ果てても、



いつかこの声が届かなくなっても、



僕は僕のままであり続け、



君は君のままであり続ける。



君は僕のユメで僕は君のユメでした。












「好き、」


「俺も好き、」


「そこは愛してるって言うて」


「愛してる」


「誰よりも?」


「誰よりも、」











真っ暗な部屋に響くのは君と僕の声だけで他の騒音は何も聴こえない。
囁きあう愛の言葉は、所詮僕たちの心をきつく締め付ける物にしかならない。
理由なんてものはわかりきっている。
僕等は互いに所有物であり、所有物同士がこうやって愛を囁き合う事も、求める事も許されないのだ。











「嗚呼、夜が明けてまう…」


「うん」


「はよ戻らな怒られてまうで?」


「うん」


「ひかる、」


「わかっとる」











困った表情を見るのが好きでした。
だってそのときだけは僕が君を支配しているみたいで心地よかったから。
お互いがお互いを求め合っているのに、此処ではそんなコトバで終わらせられない憎悪が渦巻いて、僕等の逢瀬ですら許してはくれない。
そんな中に僕は放り込まれたくはなかったんだ。
そして、君も放り込みたくなかった。






明け出す空を眺めては

        何度もため息を吐いた。



暮れ行く空を眺めては

        何度も嬉しさを覚えた。







「また今日があるやん」


「絶対なんかない」


「そない悲しい事言わんで」


「ならどうにかしてや」


「ひかる…、」


「好きなんやもん、何で両方って出来ひんの?」











ワガママだなんていわないで、


僕は君のユメで


君は僕のユメ。





ねぇ、


どうして両方が手に入らない世界なの?














君が願った僕に対するユメは





遠の昔に叶っているのに、





僕が君に願ったユメは





遠の昔に叶う事を亡くした、

















「サヨナラなんて言わんで、」





「また明日て言わんで、」





「絶対なんてない癖に」