今思えば、出会ったあの時からずっと目で追いかけて、意識しとった気がする。
中学を卒業して5年過ぎた春。
オレは医大に通って、毎日医者になる為に勉強しとる。
四天宝寺の元レギュラーとも交流が途絶えるかもって思っとったけど、未だに連絡取ったり会ったりしとる。
オレらの絆は強いっちゅーこっちゃな。
「謙也ってさ、彼女居ったっけ?」
「何やねん急に…」
「やって謙也、この前学内でめっちゃ美人やって言われとった新嶋さん振ったらしいやん」
「にいじま?」
「ちょ、謙也この前告られた子やって!?」
「あー…う、ん?」
「知らんかったんか?」
「し、知らんわけやないで!興味なかっただけや!」
「アカンわ〜…新島さん可哀想ー…」
「ドンマイ新島さん…」
「何やねんお前ら!!」
「まーまー、で?ホンマのとこどないなん?」
「何がや…、」
「恋人居るん?」
「……居る」
言うた瞬間のコイツらの騒ぎようと言ったらない。
そないに俺にコイビトが居るのんが以外やったらしい。
「今度紹介してや〜」
「絶対にムリや」
「何で絶対て言い切れんねん!」
「人見知りする子なんか?」
「いや、惚れられるんがイヤなんやろ〜!」
「そんなんちゃうし。むっちゃ忙しそうやねん」
「そないな事言うて〜、紹介するんがイヤなだけやろ〜」
口々に騒ぎ出す。
アイツが忙しいっちゅーんはホンマの事や。
今年の春から大学生になって、今は環境の変化に慣れらなアカン時期なんや。
オレの我侭で変なストレス与えたらアカン。
人一倍繊細な奴やから尚更や。
「同い年なんか?」
「いんや、一個下」
「高校の同級生とかか?」
「中学ん時の後輩」
「え、ちょ、謙也まさか今まで一筋とか言う落ちちゃうやろ?」
「付き合って6年目」
「うわッ、よぉ続くな!」
「好きなんやからしゃーないやろ」
「惚気られたし」
ゲラゲラ笑い出されて、ちょい気ぃ悪なってきた。
一筋で何が悪いっちゅー話や!あ、アカン口癖がまた出てもぉた…。
直さなアカンって思っとるんやけどなぁ、中々直らへんし。
って!そないな事はどないでもええねん!
「(はよ逢いたいわ…、今なにしとるんやろ)」
輪の中から外れて携帯を開いて見ると着信アリの文字と新着メールの表示。
一様マナーモード(しかもサイレントモードや!)にしとるからアイツ等には気ぃ付かれてへん筈や。
メールを読み終えてから素早く返信を打って携帯閉じてからまた輪に戻った。
「メールか〜?」
「なんや、カノジョからか?」
「いんや、迷惑メールやったわ」
キミと一緒に居られる幸せを込めて…、今日は何をして過ごそうか?
(迎えに来いって、)(どっか行きたいとこでもあるんかな?)