「悩むくらいやったら、押し倒せばええやないか」
「そないなこと、ワイ…白石に出来ひん」
「前は言うとったやないかい」
「1年ん時と今はちゃうやん」
「そうでもないやろ。蔵さんとの約束は蔵さん超したらやったやろ」
「そりゃ、このまま行けば10センチなんて簡単に伸びるやろうけど」
「それは俺に対する嫌味か?」
「ちゃ、ちゃうで!光は寧ろ今のままの方がええやん!」
「ま、最低でも180ちょいは欲しいわ」
「?今なんぼやった?」
「……170」
「あり?ワイと19センチもちゃうかったっけ?」
「…殺すぞ」
「ちょ、光、怒らんとってぇや〜!!」
いつもと変わらん放課後の時間。
俺は高校に合格したんもあって、男テニに顔を出しとる。
どないなっとるんかも心配やったし、何や遠山が話し聞いて貰いたそうやって現部長が言うとったから顔出して見た。
そしたら何や、コイツ蔵さんのことで悩んどるやないかい!
むっちゃうざいっちゅーねん、何で俺がそないなこと聞かされとんのや。
「このまま行ったら3年のどっかで超すやろ、それまで待ちぃ」
「そないなことしとったら、どっかの誰かに白石んこと捕られてまうやん!」
「ハ?お前ら恋人同士やないんか?」
「せやけど、ヤっとらんで?」
「嘘や…、あの蔵さんが………ありえへん」
要らんこと聞いてしもぉた…。
蔵さんはあんなん言うとるくらいやから手が速いもんやと思とったんに、とんだ勘違いやん!恥ずッ!!
(嗚呼、もう!こないなん嫌や!!)(ちょ、ひ、光?!どないしたんや、)(今から蔵さんに電話するからちゃんと言いッ!)(…ッ!)