ワイはなんも知らへんかった。
みんながワイの事守ってくれとったって事を。
白石がワイに気が付かれへんようにしとったって事を。
ワイはそんなん全部知らんとみんなの事を傷付けとった。
あの時、光に怒られて、ホンマの事言われて、泣きたぁなった。
謝らなアカンて思て、白石のとこに行ったのに、結局謝れんと、泣いてばっか居って、それでも白石はしゃーない奴やなぁ言うて、泣き止むまでワイん事、抱き締めて頭撫でてくれた。
何で、こんなんなんやろぉって思た。
大切な人傷付けて、守りたいって頭で思うばっかしで、結局何も結果なんか出せてへん。
ガキや、ホンマただのガキ。
何でこないにガキなんやろ?
自分の事が憎くて憎くてしゃぁない。












「金ちゃんは、気ぃ付かへんまんまでよかったんや。やっとるんは俺らの自己満足やねんから、金ちゃんがそない泣く事やないんやで…。笑っとって、悔しいって、憎いって思うんやったら今まで通り笑っとってや、お願いや…、」












白石が泣いとる…、ワイの所為で。
誰よりも、何よりも大切な白石が、ワイがこんなんやから泣いとる…。
そう思うとまた涙が溢れて来た。
ワイは知っとるんや、白石の右腕にも包帯が巻かれとる事、それが日に日に酷ぉなっとった事。
最初のうちは絆創膏貼っとっただけやったのに、徐々に徐々に貼る箇所が増えて行って、今じゃ左腕と同じように包帯が巻かれとる。
一度だけ、ふざけて白石に右腕も毒手なんかって聞いた事があった。
そん時の白石、哀しそうな顔しながら、そぉやでって言うとった。
その時に気が付くげきやったんや。
何か、可笑しいって。












「し、らいしが、」
「うん」
「そ、れで、…ええって、言うんや、たら…、」
「ありがとぉ、金ちゃん」












なぁ、白石。
お願いやから我慢せんといてぇや。
まだまだガキやけど、ワイ、もう大丈夫やから。
光に言われたんや、大切やって思うんやったら守らなアカンねんって、大切なんやったらその人の為に騎士みたいな存在にならなアカンねんって、そう言われたんや。
やから、ワイはまた笑って欲しいんや。
ワイが入学した時、優しぃ声掛けてくれたんが白石やって、入部してからずっと、気に掛けてくれてたって解っとったから、もう甘えたことばっか言わへんで。
守る…、守るって決めたんや。























何よりも大切なアナタが





いつまでも笑っていられるように





僕は今、君を守る盾になるよ